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その人にとって、たった一つの大事な物件

売買物件

弊社は空き家買取専門の会社と業務提携をしております。
先日、売主様より専任でお預かりしていた中古戸建(売買物件)の買付をいただいた時のお話です。

その売りに出していた中古物件は空き家を買い取ったものでして、築年数は52年、建築基準法の接道条件を満たしていない「再建築不可」の、買い手を見つけるには非常に難しい物件でした。

そもそも空き家になった理由は、住んでらっしゃったご家族がご高齢でお亡くなりになって、ご家族が相続はしたものの誰も住む方が居なく、長い間空き家で困っていたとのことで仕方なしに売りに出したようなのです。
現在、空き家問題がよくメディアで取り上げられておりますが、まさに行き場のない状態のかわいそうな物件でした。

築年数も経っているうえに内装のリフォームをされた形跡もなく、前所有者さんはペットを飼っておられたのか壁や柱にはひっかっき傷が至る所にあり、襖や畳はカビで湿っており、水回りもとても傷んでいて現状住める状態ではありません。
築古の価格の安い戸建ては、投資家さんが購入してリフォームをして賃貸に出すという再生方法が一般的なのですが、この物件はかなりのリフォーム費用がかかるので、いくらお安い値段で売りに出しても買い手がつくのは難しいことはお預かりしたときから一目瞭然でした。
私は掲載をしてみたものの、もし買い手がつかなかったら、再建築不可なので最悪は更地にしてコンテナハウスなどにするしかないのかな、と思っていました。

しかし、その物件の掲載を開始してほどなくして、あるお客様から内覧のお問合せがありました。
そのお客様はご高齢の男性なのですが、よくよくお話を聞いてみると、その物件の斜向かいに息子さんが住んでいるとのこと。
自分は遠方で一人暮らしをしているので、息子の近くに住みたくてこの地域でずっと物件を探していた、というお話だったのです。

お客様に、「この状態なのでかなり高額なリフォーム費用もかかりますし、もしお家の重要な部分が壊れて住むのが難しくなっても再建築ができない物件ですよ」とお伝えしました。
でも、お客様は「自分はもう高齢なので一人で離れて住むのがとても不安で寂しい。息子の家が目の前にあるから、この家が使えなくなるまでの間でいいからどうしてもここに住みたい。リフォーム費用はかかるけど、それでも大丈夫」とおっしゃいました。

それを聞いて、通常だったら見捨てられてしまうような状態の物件でも、ある人にとってはとても価値があって必要な物件になり得ることもあるんだな、ということを改めて感じました。

私は売主様から物件を預かると、お客様に内覧していただく準備として中を簡単にお掃除するのですが、その最中にも様々なものが目に入ってくるのです。
例えば、お子さんが小さい頃に壁に貼ったんだろうなと思われるキャラクターのシールやポスター、猫ちゃんがいつも爪とぎをしていたであろうお気に入りの柱のガリガリ跡、備え付け食器棚に貼られた昭和感あふれるのデコレーションシートなど、持ち主さんが新築で家を建てられてからご家族で住まれていた長い歴史の様なものを感じると、とてもあたたかい気持ちになる反面、誰も住まずに行き場がなくなってしまって放置されてしまった空虚感のようなものも感じて、とても複雑な気持ちになりました。
でも、そんな歴史を引き継いで住んでくれる方がいるということに私も安堵しましたし、前所有者様も後々ご自身が手放した物件が取り壊されずにまだ残っていることを知った時は、とても喜ばれるのではないかと思いました。

現在、空き家の放置問題で近隣住民からの苦情等で困っている行政もたくさんあります。
今回のようなパターンは稀なケースではありますが、どうしようもない空き家を買い取って再生してくれる業者さんもたくさんありますし、ある一定の方にとってはかけがえのない財産にもなり得る可能性を秘めているのが「空き家」でもあります。
私は、そんな可能性を信じて、これからも空き家とお客様の橋渡しができるような仲介を続けていきたいと思っております。

弊社は基本的には賃貸をメインでやっておりますが、売買物件の取扱いも少なからずあります。
もし、どうしようもなく困っている空き家をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご相談いただければ査定をすることも可能です。
どうぞお気軽にお問い合わせいただければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。